好きになるには理由があります

「……そうですね。

 ありがとうございます」

 深月はこんな自分なんかを好きだと言ってくれた杵崎に礼を言う。

 こんな人を好きになりたいとか。

 こんな生活を送りたいとか、そういう夢は自分にもあった。

 結婚しても、会社に通って、神社のお手伝いもして。

 時折、神社の床下に居る猫をかまって。

 そんな感じのなにげない暮らし。

 そういう風景にすっとハマるのは、きっと清ちゃんなんだろう。

 そう思うけど、でも……。

 今、頭の中で、神社の床下を一緒に覗いていたのは支社長だった。