好きになるには理由があります

「やだーっ、もう深月ーっ。
 ありがとうー」

 彼女が登場した瞬間、全員が、ケッという顔をした。

 そういえば、まだ名前を知らない水かけ女さんだ。

「ありがとう、深月」
と彼女は親しげに手を握ってくる。

 あなたに深月と呼ばれる日が来るとは……と苦笑いしながら、深月は、なにがなんだかわからないまま手を握られていた。

「貴女のおかげで素敵な人と巡り会えたわ」

 人数が多すぎて、全体の動きを把握しきれなかったのだが。

 どうやら、昨日のコンパ、上手くいったようだった。

「なんでこの陰険女が真っ先に決まるのよーっ」
と由紀と沙希の怒号をまるで、教会のライスシャワーでもあるかのように浴びながら彼女は微笑んで言ってくる。

「深月っ、式には呼ぶから、ぜひ、来てねっ」

 よく話を聞けば、どうも連絡先を交換しただけのようなのだが。

 彼女の中では、もう式まで決まっている感じだった。