好きになるには理由があります

「なにやってんだ、早く来い」
とさっさと下に下りた杵崎が扉の前で振り返り言ってくる。

 綺麗さっぱり、今のキスなど忘れたかのように。

 ……酔った弾みの戯言(ざれごと)だったのだろうかな。

 なんだかわからないけど。

 まあ、初めてのキスではなかったわけだし、よかったか。

 いや、よくはないが……。

 っていうか、なんで、初めてが杵崎さんでなくて、支社長でよかったなんて思うんだろう。