好きになるには理由があります

「本物の巫女さんより、お前が気になる。
 今日、はっきりわかった」
と杵崎はまっすぐ自分を見つめて言ってくる。

「お前がまだハッキリ相手を陽太だと決めていないのなら。

 俺ももうちょっと気合い入れて神楽手伝うから、お前の恋人候補に入れてくれ」

 神楽が基準で相手選んでるわけじゃないんですけど……と青ざめたまま、両肩をつかまれていると、誰かがまた、店のドアを開けた。

「杵崎ー、俺、帰るわー。
 そろそろ戻らないとカミさん怒るしー」

 いや、カミさん居るのに来るな、と思う深月の前で杵崎は友人を振り返り、

「わかった。
 気をつけて帰れよ」
と普通にしゃべっていた。

 いやいやいや。
 人に勝手にキスして、告白して。

 なに平然と人と話してんですか。

 っていうか、順番逆じゃないですかっ。

 まず、告白してからキスでしょうっ、と思いながら、深月は何故か一生懸命思い出そうとしていた。

 陽太とのキスを――。

 だが、あの夜の記憶は蘇らず、思い出すのは、夕暮れの道で、そっと頬にキスしてきた陽太の姿ばかりだ。