好きになるには理由があります

「美味かったぞ、今度連れてってやる。

 いやあ、いい酒だった。

 条子の愚痴を言うのに、勝ほどぴったりな相手、居ないしなー」

 ……なにを話してたんだろうな、前夫と今の夫で。

 お母さんが知ったら、大激怒だな、と苦笑しながら、
「あ、じゃあ、早く帰るねー」
と言ってスマホを切ろうとしたとき、杵崎が深月の両肩に手をかけ、いきなりキスしてきた。

 何故ーっ、と思っているうちに、杵崎は離れ、
「一宮。
 俺はやっぱり、お前が好きらしい」
と告白してくる。

「なんでだろうな?
 お茶もお華もやらない酒ばかりたしなんでいるような女なのに」

 偏見ですよ。

 少しは習いましたよ。

 中学生くらいで、すぐやめたけど。

 チラと確認すると、通話は切れていた。

 良彦が切ったのだろう。

 少しホッとする。