好きになるには理由があります

「でも、まず、純さんたちにご挨拶してからでないと角が立つので――」
と言い出すので、

「いやそれ、俺を連れてかないとお前が角が立つだけで、俺には関係ないよな」
と言ってやった。

 そのまま友人たちのところに行こうとすると、待って、待ってください~っと深月が腕をつかんでくる。

「どうか私の顔に免じて」

「いや、お前の顔に免じなければならないような義理はない」
とすげなく言い捨て、行こうとしたが、

 杵崎さん~っ、と深月は自分の腕を引っ張ってくる。

 せっかく諦めようと思っているのに、不用意に触れてくるなーっ、と杵崎は思っていた。

 ……いきなり、此処でキスしてやろうか。

 陽太は嫌われたくなくて、積極的に出られなくなっているようだが。

 俺は最初から捨て身だから、なんでもできるんだそ、一宮、と思ったとき、深月が、あ、と言って手を離した。

 スマホが鳴っているようだ。

 薄暗い照明の中、深月がそれを手に取ると、周りが騒ぎ始める。