好きになるには理由があります

 焼き杉と黒い鉄で作られたアーチ状のドアに、船で使われていそうなランプ。

 ドア開ける前から騒がしいし。

 なにやら、海賊が酒盛りでもやってそうな雰囲気だ、と思いながら杵崎はドアを開けたが。

 いや、本当にそんな感じだった。

 これ、コンパなのか?
と問いたくなる大人数の会場はすでに大いに盛り上がっていて。

 一際大きな声で笑っているのは由紀だった。

 かなり出来上がっているようで、隣に座っている杵崎の気の弱い友人の肩をバンバン叩きながら、腹を抱えて笑っている。

 ……ありゃ今回も駄目だな、と杵崎は思った。

 自分は由紀の、酒が入ると、気取った見た目に反して、豪快なオッサンみたいになるところは嫌いではなかったのだが。

 一般の男には受けなさそうだな……と側に座らされている友人に同情しながら思う。

「杵崎さん、杵崎さん」

 そのとき、深月が自分を呼んだ。

 周囲を見回し、小声でヒソヒソと言ってくる。

 お兄さんにだけに、いい情報流しますぜ、とか言ってくる怪しい黒服かなにかのように。

「……実は、今日、本物の巫女さんが来ています」

 いや、お前は偽物なのか、と思ったが。

 どうやら、深月のようにOLと兼業ではない、大きな神社に就職している巫女さんが来ている、という意味らしい。