好きになるには理由があります

 最後、自分が戸締りしないと落ち着かないので、いつも深月を先に帰らせるのだが。

 今日はコンパもあるのに、自分ひとりだけ先に出て悪かった、と深月は思ったようだった。

「ああ、ちょっと会議の出欠の変更の電話があっただけだ。
 パソコン閉める前だったから、ついでに名簿打ち直しておいたから」
と言うと、ああっ、すみませんっ、と深月は恐縮する。

 名簿の作成は深月の仕事だからだ。

 だが、メモ書きして深月に打ち直させるより、自分で打った方が早かったから、やっただけだ。

「申し訳ございません。
 ありがとうございます。

 ささ、じゃんじゃんお呑みください」
と言う深月と共に階段を下りる。

「その流れで言われると、なんかお前がおごってくれるみたいだが。
 呑み放題だよな? 此処。

 っていうか、会費、男の方が高いだろ。
 男女平等の世の中なのに」

「飲み食いする量は平等じゃないからではないですかね?」
と言う深月に、

「嘘つけ。
 絶対、俺よりお前の方が呑んでるし。

 金子たちの方が食ってる」
と言ってやったが、深月は、ささ、どうぞどうぞ、まあまあ、といつものように適当なことを言いながら、店のドアに向かって自分の背を押す。