好きになるには理由があります

 


 深月たちがタクシーから降りたとき、ちょうど、トイレから水入りバケツを深月に投げてきたあの一団がやってきた。

 駅から歩いてきたようだ。

 あっ、と由紀は彼女らに目をとめ、
「なによ、あんたたちっ。
 ちゃっかり着替えてきてるじゃないのっ」
と揉め始める。

「しかもなによ、寒いのに、その露出っ」

「じゃあ、あんたも脱ぎなさいよ。
 昼休憩のとき見たわよっ」

「なにをよっ」

「その下のワンピース、かなりVネック深めじゃない。
 カーディガン脱げばいいんじゃないの?」

 由紀は、一瞬、迷ったあとで、カーディガンを脱いだ。

 さむっ、と身を震わせた由紀は、
「莫迦ね。
 店内で脱げばいいじゃない」
と言う水かけ女と話しながら、地下の店へと階段を下りていってしまった。