好きになるには理由があります

「だって、自転車も飲酒運転になるじゃないか」

 いや、飲酒運転じゃなかったら行くのか……?

 深月の頭の中で、杵崎が他の男性社員と二人乗りで現れ、やあ、と女の子たちに手を挙げる――。

 コンパに行くタクシーの中でも、その妄想を思い出し、ぷっ、と笑うと、由紀が言ってきた。

「また突然、笑ってる」

「深月、いつもいきなり笑い出すから、びっくりしますよね~」
と純も呆れたように言ったが。

 助手席に座る沙希は、
「そんなことはいいのよっ。
 それより、深月っ。
 あんた、今日は目立たないようにしてなさいよっ」
と釘を刺してきた。

 後部座席の真ん中に座る深月に左右から純と由紀が言ってくる。

「そうよ。
 あんたにはもう支社長が居るんだからっ」

「隅でじっとしてるか。
 みんなの注文でもとってなさいよっ」

 ……シンデレラか、
と思いながら、深月はひとつ溜息をついて言った。

「心配しなくても、私なんて、もともと目立ちませんから」

 すると、沙希が、
「いや、そうなんだけどっ」
とそこは素直に認めて言ってくる。

 おい……。