好きになるには理由があります

 


 休憩が終わり、稽古に戻ろうとした深月たちだったが、隅の方で万蔵たちが渋い顔で話しているのに気がついた。

 万蔵の足はまだ治ってはいないのだが、今日は条子に連れてきてもらっていたのだ。

「どうしたんですか?」
と深月は訊いてみた。

 すると、則雄が、
「いや、そろそろ、宵宮のこととか取り決めとこうと思ったんだが。
 儀式をどの程度やるかで揉めてて」
と言う。

「宵宮って、祭りの前日ですよね?」
と陽太が則雄たちに訊いている。

 そうそう、と則雄が答えた。
 深月が言う。

「宵宮では、祭りのために神様をお呼びする儀式をやるんです。

 神楽もそのうちのひとつですけど。

 まあ、儀式自体は、ひっそりやっているし。

 神職だけでやって、見られない部分も多いので。
 
 祭りを見に来る人からすれば地味ですかね?

 それでなのか、いろいろ面倒臭いことが多いからなのかわからないですけど。

 古い資料とか見てみたら、大祭の儀式でさえ、昔に比べて、かなり簡素化されちゃってるみたいなんですよね」