好きになるには理由があります

 


 その頃、深月は全然違うことを考えていた。

 支社長に、気取らない店でおごるって言っちゃったけど、何処に行こうかなと。

 休憩時間に、素直にその話をすると、
「なんだ、そのことか」
と何故か陽太は安堵したように言ってきた。

 他になにが……?
と思う深月に少しいつもの調子を取り戻し、陽太は言ってくる。

「そうだ。
 チキン南蛮丼でもいいぞ」

「えっ」

「買ってきて、船で食べよう。
 それかうちに来るか?」

「支社長、おうちがあったんですか?」
と思わず訊いて、

「……当たり前だろ?」
と言われてしまう。

 いやいや、船に立派な居住スペースがあるので、なんとなく、あそこに住んでいるのかと。

 はは、と深月は笑って誤魔化そうとする。