好きになるには理由があります

 深月が用意してくれた仕出しのメニューと店の資料を見ながら、
「食事くらい付き合ってくれてもいいだろうに」
と言う自分の愚痴は聞かずに、深月は、

「では、失礼します」
と言って行ってしまう。

 ……公私混同しない立派な秘書だな、と嫌味まじりに思っていると、扉のところで足を止めた深月が小さな声で、言ってきた。

「あの、……私はそういう肩肘張ったところより、もっと庶民的でくつろげるところの方が好きです。

 昨日のお礼に、私がおごります。

 ありがとうございましたっ」
と言って、ピュッと逃げようとした。

「待てっ」
と呼び止める。

「清春にはバレなかったか?」

 親よりそっちを心配して訊いてみた。

「バレました。
 あの人に隠し事するなんて無理です……」
と深月は怯えたように言ってくる。

 ……なにがあったんだ、と思っている間に、深月は出て行ってしまった。

 ともかく深月は俺が守ってやらねば、と気合いを入れて、次の神楽の練習に顔を出したが。

 案の定、清春が、すごい形相で睨んできた。