好きになるには理由があります

「何処に行っていた、深月」

「荒行に」

 いや、湯に浸かって、ほかほかしてただけだろ、と陽太が言ってきそうだったが。

 さすが日本一の打たせ湯、かなり痛かったのだ。
 気持ち的には、ちょっぴり荒行だ。

「祭りの前なので、身を清めようかと」

 お土産です、とこんなこともあろうかとあらかじめ用意していた土産の小魚フリカケを差し出した。

 道の駅とかでよく売っている清春が好きなフリカケだ。

「じゃっ、遅刻するんでっ」
と深月は急いで横をすり抜ける。

「船長は何処行った?」
という声が追いかけてきた。

「そのまま仕事行ったー」

 陽太は船に着替えを置いているので、そのまま会社に行けたのだ。

 急いで着替えた深月は、条子にご飯はいいと言って、自転車に飛び乗った。