おや? 声がしなくなった、と陽太は思った。 操舵席に居る自分の後ろで、いまいち辻褄の合わない相槌を打っていた深月の声が聞こえなくなったのだ。 ……寝てやがる。 振り返ると、深月は上手い具合に缶を倒さないようにつかんだまま、ソファに倒れこんで寝ていた。 だから、ベッドに行けと言ったのに、と思いながら、陽太はちょうど停泊予定の湾まで来ていたので、船を止め、深月を抱き上げる。 深月は余程疲れていたのか、全然気づかない。 そのままベッドに連れていった。