好きになるには理由があります

「カ、カップルですっ。
 カップルっ」

 ほらっ、と陽太は慌てて深月と手をつないで見せた。

「……そうですか。
 カップルですか」
と運転していた方の若い警官が渋い顔で言う。

 その声にか、赤くなって俯いていた深月が顔を上げ、あっ、という顔をした。

「白崎っ」
とその警官を見て叫ぶ。

 自分が肩を叩いたときより、ひいっ、という顔をしていた。

「……お疲れ様ー」
と深月に言って、パトカーは行ってしまう。

「誰だ、今のは……」

「同級生です~」

 やばい。
 広まる~っ、と深月は怯える。

「狭い街だな」
と呟いたあとで、陽太は、

「まあ、いいじゃないか」
と言う。

「広まっても、別にいいだろ。
 もうすぐ結婚するんだし」

「は?」

「はじゃないだろ。
 俺は最初からそのつもりだ。

 お前、俺とあそこまでしておいて、責任取らせないつもりか、淫乱女め」
と深月を罵り、手をつかみ変えた。