好きになるには理由があります

 



 いや、船長でもないが、と思いながら、陽太は夜道を急いでいた。

 一緒に出たら、清春に気取られると思ったのか。

 深月は先に出てしまったようだ。

 こんな夜道をひとりで歩くなんて危険じゃないか。

 鬼の面でも被らせておけばよかった、と思いながら、陽太は急いで後を追う。

 怖いからか、早く清春から遠ざかりたいからか。

 ひとり、せかせかと歩いている深月の後ろ姿がスーパーの近くに見えた。

 急いで近づき、
「おい」
と肩に手を置くと、

 ひーっ、と深月が殺されそうな悲鳴を上げた。

「……俺だ、莫迦」
と言ったとき、誰かがこちらを見ているのに気がついた。

 いつの間にかパトカーが背後に忍び寄っていて、中からお巡りさんがこちらを見ている。