「あのおみくじ当たってなかったぞ」
と歩く道々、陽太は機嫌よく言ってくる。
やはりおみくじ悪かったんだな……と思っていると、陽太は歩きながら手を握ってこようとする。
慌てて払った。
「なんだ。
デートだぞ」
「近所にお茶飲みに行くだけですよ」
「それを人はデートと言うんだ。
っていうか、お前、俺とあんなことまでしておいて、手はつながないって意味がわからないんだが」
だーかーらー、それ、記憶にないですしーっ、と思いながら、深月は言った。
「きっと酔って寝ちゃっただけで、なんにもしてないんですよ。
よく考えたら、私が好きでもない人と、そんなことするわけないですもん」
と言うと、
「だから……好きなんだろ?」
と陽太は言ってくる。
いつの間にか、手を握られていた。
いやいやいや。
だから、そんなまっすぐに見つめて来ないでくださいっと思っているうちに、陽太が言うところの近所の雰囲気のいい喫茶店に着いていた。



