好きになるには理由があります

「深月の前で開けるのなら、俺でもそうするからだ。
 見せろ」
と清春は陽太に向かい、手を差し出す。

 だが、陽太はおのれのおみくじは握り隠し、深月の方を向いた。

「嫌だ。
 深月、見せろ」

「そうだ、見せろ」
と清春も言い出す。

 二人そろって深月に向かい、手を差し出してきた。

 何故、こんなときだけ結託するっ、
と深月はおみくじを胸に抱いて隠そうとした。

 清春が、
「『恋愛 身近な相手にして良し』とか書いてないか?」
と言うと、陽太が、

「深月の、今、一番身近な男、俺だろ。
 お前より一緒に居る時間長いんだから」
と言い出す。

 いや、一番長いの、総務部の斜め前の席のおじさんですけど……、
と思いはしたが。

 もうめんどくさくなってきたので、二人の前で開けてみた。