「す、清々しい気持ちになったんじゃなかったんですか?」
としゃがんだまま、ちょっと後退しながら深月が言う。
「ああ、敬虔な気持ちになった。
お前を前にすると欲望まみれな俺だが。
今、ひどく崇高な気持ちで、お前を抱きしめたいと思った」
いや、それのどの辺が崇高なんですか、という顔をした深月に陽太は言う。
「崇高な気持ちで祈りを捧げ、人間の原始に立ち返ったところで。
本能に従い、求愛行動をしてみようかと――」
と深月の腕をつかんで抱き寄せようとして、
「帰れ」
と後ろから清春に竹箒の柄で背中を突かれる。
清春と話していた老夫婦が笑ってこちらを見ていた。
としゃがんだまま、ちょっと後退しながら深月が言う。
「ああ、敬虔な気持ちになった。
お前を前にすると欲望まみれな俺だが。
今、ひどく崇高な気持ちで、お前を抱きしめたいと思った」
いや、それのどの辺が崇高なんですか、という顔をした深月に陽太は言う。
「崇高な気持ちで祈りを捧げ、人間の原始に立ち返ったところで。
本能に従い、求愛行動をしてみようかと――」
と深月の腕をつかんで抱き寄せようとして、
「帰れ」
と後ろから清春に竹箒の柄で背中を突かれる。
清春と話していた老夫婦が笑ってこちらを見ていた。



