好きになるには理由があります

 



 莫迦め。
 大丈夫だといいながら、支社長室に戻ったら、バレバレだろうが。

 杵崎は支社長室の隣の秘書室で、微かに聞こえてくる二人の話し声に耳をすましていた。

 さっき陽太につきつけた書類を見ながら呟く。

「ハンコもまともに押せない男の何処がいい、一宮……」