好きになるには理由があります

 船長の裸と言うので、なんとなく、船のデッキの端に立ち、上半身裸で腕を組んで立っている陽太が頭に浮かんだが。

 おそらく、そういう意味ではないのだろう。

「……え、職場で」

「なんで職場で」

「秘書だから」
と理由にならないことを言ってしまったが、会社勤めをしたことのない清春は、

「……そうなのか」
と言った。

 ごめん、清ちゃん。

 秘書だからって、上司の胸板が厚いかなんて脱がせて確認しないし。

 第一、私はまだ秘書でもないんだけど。

 そう深月が思ったとき、則雄が、
「助けてやれ、深月。
 陽太が万理と律子とおばちゃんたちに襲われている」
と言ってきた。

 見れば、衣装合わせを終えて、装束を脱いだ陽太は、なんだかわからないが、笑っているおばちゃんたちに囲まれ、ぺしぺし、腕とか胸とかを叩かれている。

 ひとりのおばちゃんがなにか言って、みんながどっと笑う。