好きになるには理由があります

 


 衣装合わせは深月たちの神社で行われた。

 深月はもう先に帰ってしまっていたが。

 陽太も思ったより遅くならずに神社に到着できた。

 杵崎は神楽に参加するかはまだ迷っているようだったので置いてきた。

 積極的に深月の側にやりたくないからというのもあるが……。

 陽太が鳥居を潜り、境内に入ると、社殿の横の部屋と社務所に灯りがついていた。

 ふと見ると、社務所の前にOL風の女性が立っていて、なにかを待っている。

 どうやら、清春が女性の持ってきた御朱印帳に御朱印を書いているようだった。

 達筆でするするっと書く清春の字は力強い中にも繊細さがあり、見事だった。

「遅い時間にすみませんでした。
 ありがとうございました」
と女性は清春に頭を下げたあと。

 彼女の後ろに居た陽太にも頭を下げ、去っていく。

 陽太が筆などを片付けている清春を見ながら、
「あんた……、格好いいな」
と言うと、清春は顔を上げないまま、

「なにが?」
と言う。