好きになるには理由があります

 


「お疲れー。
 深月、今日はもう上がっていいぞ。

 見学の人も居るし、陽太ももう疲れただろうから。

 衣装片付けたら、お前ら帰れ」
と舞台から下りると、則雄が言ってきた。

「あ、はい。
 ありがとうございますっ。

 お疲れ様でしたっ」
と深月が頭を下げたとき、やってきた陽太が、

「深月、逃げよう」
と言って手を握ってきた。

 いや、何処から?

 そして、なにから?
と思う深月に、

「幸い船もある」
と陽太は言ってくる。

 貴方、船で何処まで逃げる気なんですか?

 明日も仕事ですけど、
と思う深月を陽太は急いで連れ出そうとする。

「さあ、帰るぞ」
と言う陽太の背後から現れた清春が、

「待て」
と言って、グッと陽太の肩をつかんだ。