好きになるには理由があります

 普段の深月はおそらく、英孝の好みではない。

 だが、今の深月は、こいつの好みにドンピシャリなのでは……と横目に杵崎を窺いながら、陽太は不安になる。

 たいしたミスもなく舞い終わった深月が静かに下がっていった。

 少しずつ、拍手が起こる。

 杵崎が軽く手を叩いたあとで、溜息をつき、言ってきた。

「お前、よく一宮に手を出そうと思ったな」

「……あいつ、普段から、あんなじゃねえだろ」
と陽太が小さな声で言い訳をしたそのとき。

 脇に下がった深月は、なにをしたのやら。

「深月ーっ」
と舞台袖で怒鳴られていた。

 莫迦が……と思いながらも、いつもと変わらぬ深月の、
「ひーっ。
 すみませんーっ」
というマヌケ声にホッとする。