好きになるには理由があります

「お前より、あの支社長の方が呑み込みが早いようだな」
と言われ、うっ、と思う。

 清春が後ろに立っていた。

 舞台に立つ清春は腕を組み、陽太の方を見ている。

「人手が足らないから、もう一個やってもらおうかって話になったぞ。

 俺と一緒。
 面被らないやつ」

「そ、そうなんだ?
 でもあの、支社長忙しいから、あまり増やさないであげてね」
と言うと、清春は冷ややかに深月を見下ろしたあとで、

「俺も忙しいんだが」
と言ってくる。

 そうですね。
 わかってますよ。

 おじいちゃんが動けないから、貴方がひとりで神社回してますもんね。

 だから、休みの日は手伝ってるじゃないですか、と苦笑いしていると、下に立つおじさんがこちらを見て言ってくる。

「『清ちゃん、お疲れ様。
  清ちゃんが大変なの、深月が一番わかってるよっ』
 とか言ってやれ、深月っ。

 清春、ホイホイ働くぞー」

 ……いや、私、『深月が~』とか言いませんし。

 そのアドバイス、清ちゃんに聞かれている時点で意味ないのでは、と思いながら、清春を見上げた。

 清春は沈黙してこちらを見ている。

 その圧に耐えかね、うっかり、そのまま言ってみた。

「き、清ちゃんが大変なのは、よくわかってるよ。
 お疲れ様」

 それでも、清春は、まだ黙って見ているので、深月は笑顔を押し上げ、笑ってみた。

 すると、清春は、

「……うん」
となにが、うん、なのかわからないが、頷き、行ってしまった。