好きになるには理由があります




「一宮、あれはなんの役だ」

「一宮、あの剣は本物なのか?」

 やっぱ、めっちゃ食いついてるなー、と深月は思った。

 杵崎は稽古を見学しながら、ぐいぐい突っ込んで訊いてくるのだ。

 だが途中で、深月には深い内容を訊いても無理そうだ、と気づいたらしい。

 今度はおじさんたちのところに行き、質問し始める。

 おじさんたちは熱心な杵崎の様子を見て、嬉しそうだった。

 しばらくの間、杵崎は、みんなの話を聞きながら深く頷いていた。

 が、ふいに、深月の許に戻ってくる。

「一宮」
「はい」

 杵崎さん、連れてきてよかったな、と思いながら、返事をした深月に、杵崎は言った。

「で、巫女さんはお前だけなのか」

「……やっぱり、そこですか」