好きになるには理由があります

 ……今のも、俺が深月たちの方を恨みがましくガン見してたから、気をそらすために言ってくれたのかもしれないな、と清春は友情に感謝したが、万理はまだ、律子と揉めていて、

「なによっ。
 たまにはイケメンと語らうっていう潤いも大切なのよっ。

 妻が美しくあるためにっ。

 ねえ、智志(さとし)くんっ」
とこちらにやってきた旦那を振り向き、言い出した。

 人のよい旦那は、ただ苦笑いして、後ろに立っている。

「……ちょっとあっち見てくる」
とどっちだかわからないまま清春は言い、智志に会釈して立ち上がった。

 まあ、なんだかんだで良い夫婦だ。