好きになるには理由があります

 


 また、なんかいい男が増えてるんだが……。

 清春は万理たちと装束の点検をしながら、杵崎とかいう見学者を連れてきた深月たちを横目に見ていた。

 今日の会場はコミュニティセンターだ。

「ほらほら、踏んじゃ駄目よ~」
と万理は何処かの家の孫を意外に上手くあやしながら、装束を着せて見せたりして、笑っている。

 そして、清春を振り向き、言ってきた。

「可愛いわね~、子どもって。
 私もそろそろ欲しいわ~、清春」

「なんで清春に言うのよっ。
 旦那に言いなさいよっ」
と今日は仕事が早くに終わったので、手伝いに来てくれている万理の夫を指差し、律子が言う。

「だいたい、あんた昔は、子どもが来たら逃げ回ってたじゃない」

「人間、歳をとれば変わってくるのよっ。
 甥っ子とか姪っ子とか可愛いんだからっ」
と確かに高校時代には考えられなかったようなことを言いながら、万理が揉めているのを微笑ましく聞く。