好きになるには理由があります

「あ、そうだ。
 支社長、これをお持ちしました」

 クリップを一個、はい、と支社長の手に落とす。

 持ってくるものが巨大化していって、杵崎に怒られたので、小さくするようにしたのだが。

 今度は、どんどん小さくなっていっていた。

 クリップを日にかざして眺めながら、陽太が、
「そのうち、総務に落ちていたチリになるに違いない……」
と呟いていた。