好きになるには理由があります

「お前、学校の先生に、この会社のことを褒められて、すごく嬉しそうだったらしい。

 会社を愛してくれているのがよく伝わってきた。

 新人なのに、偉いなと思ったとジイさんが言っていた」

「……すみません。
 私もう新人ではないと思うんですが」

 下が入ってこないので、なんとなく新人っぽいが。

「いや、なんか初々しかったんじゃないか?」

 初々しいのならいいが、案内や受け答えがたどたどしかったのでは、と深月は不安になる。

「ともかく、英孝ひとりで秘書の仕事を回すのも大変だろうし。

 ああいう新人を一から鍛えてみてはどうかと言われたんだ」

 いやもう、半端に育っちゃってるんですけど……とは思ったのだが。

 この人ならともかく、会長命令では逆らいがたい。

 ……いや、別に支社長を舐めているわけではないのだが。