好きになるには理由があります

 ……っていうか。

 だから、私は、貴方のその、まっすぐ見つめてくるところが苦手なんですよっ。

 視線だけで周囲を囲われて、何処にも逃げられないような気がしてくるからっ。

 そう思いながらも、視線で押し負けないよう、深月は陽太を見つめたまま、じりじりとドアの方に後退すると、

「でっ、では、もう用事は終わりましたし。
 失礼しますねっ」
と唐突に言って走り去った。