好きになるには理由があります

「だから、秘書室に来いと言ってるんだ。
 此処なら、俺だけに微笑みかけてればいいじゃないか」

「……部長とかがいらっしゃったら?」

「別にやさしくしなくていいだろう。

 いや、まあ、年寄りなら大丈夫か。

 ……いやいや、お前を愛人にとか言い出すかもしれん」

 妄想力半端ないな……。

 私にそんな価値はありませんよ、と恥ずかしくなりながらも、

「総務だろうと、秘書だろうと、誰にでもちゃんと対応しますよ。

 貴方の指図は受けません。

 貴方が支社長だろうと、私にそんな命令をする権利はありませんから」
と言ってやったのだが、陽太はまっすぐこちらを見て言ってくる。

「なにを言ってるんだ、権利ならある。

 お前は俺のものだろう。

 お前が他の男に持ってかれないよう、お前の動きをセーブする権利ならあると思うが」

 お前は俺のものだろう、と言われて、どきりとしていた。

 横暴にも聞こえる言葉なのに――。