好きになるには理由があります

「と、ともかく、その男はお前目当てだっ。

 間違いない。

 断れっ」

 いやいや。
 そんなに私がモテるわけないじゃないですか……と深月は苦笑する。

 だが、陽太がそんな過大評価をしてくれることが、嬉しいような、こそばゆいような。

 親より遥かに自分を評価してくれている感じがするし。

 とりあえず、崖から突き落として鍛えようとする親とは違い、ストレートに大事にしてくれるのも新鮮だ。

 だが、そんな経験は初めてなので。

 嬉しい反面、ちょっと怖い、と深月は思っていた。

 血のつながりなどでつながっているわけではないから、気持ちが冷めたら、いくら大事にしてくれていても、そこで終わりなんだろう。

 そう思って――。

「ともかく、他の男に愛想振るなよ。
 客だろうと冷たくしろ」
と陽太は言ってくる。

 ……いや、どんな会社ですか、と思う深月に陽太は言う。