まったく届かなくても、とんでもない方向に飛んでいっても、海里くんは笑ったりしない。
それどころか、「そうだなぁ」と私のフォームに細かいアドバイスをくれる。
そのうち、ちょっとだけコツがつかめてきて、ボールがバックボードにぶつかるようになった。
遠くまで投げられるようになったのだ。
といっても方向のコントロールはできず、海里くんにボール拾いをさせるありさま。
でも「もう一回」と彼が何度も笑顔で言うので、シュートを繰り返した。
すると……。
「あっ……」
珍しく真ん中に飛んでいったかと思うと、なんとボールがバックボードにぶつかることなくリングに吸い込まれていった。
「すげー、スウィッシュ決めた!」
スウィッシュを狙ったつもりはまったくなく、ただの偶然。
海里くんはそれがわかっているはずなのに、大げさなほどに飛び上がって喜んでいる。



