「ボールは右手でこう持つ。左手は添えて。それで肘はもっとしめる」
うしろに立ち、肩越しに手を伸ばしてきて私の手を握り、一緒にボールを持った。
「で、まっすぐ上に跳ぶんだ。やってみるぞ」
彼は有無を言わせず、私の手を握ったままシュート動作に入った。
ボールはさっきよりずっと高く上がり弧を描いたものの、やはり距離が届かない。
「おー、よくなってる」
全然ダメダメなのに、褒めてるの?
すぐにボールを拾ってきた海里くんは、また私に持たせた。
「フォロースルーも大事。ほら、フリースローの動画見ると、ちゃんと手が残ってるだろ?」
「うん」
そう言われるとそうかも。
わかっていても、私にはできない。
「でも、もういいよ。できる気がしない」
ボールを返そうとしたのに、受け取ってもらえない。
「絶対にできる。俺を信じて」
信じてって……。
あまりに真剣な表情で言われて、引き下がれなくなった。



