「これさ、安いけど結構うまいぜ」
それは知ってる。
バニラアイスに濃厚なチョコがコーティングされている棒つきアイスは私も好物だから。
「ありがとう」
私は素直にそれを受け取り、並んで歩きながら口に入れた。
こっそり見ていただけの海里くんが、びっくりするくらい近くにいるのが信じられない。
ちょっとしたことで兄の最期を思い出して苦しんでいたときとはまるで違う。
海里くんと一緒にいると、純粋に今を楽しめる。
彼はあっという間にアイスを食べ終わり、私をチラッと見た。
「早く食わないとたれるぞ」
「あっ、うん」
海里くんに気遣ってもらえたのがうれしくて大切に食べていたけれど、たしかに溶けかかっている。
それから慌てて全部食べた。
「白石って全体的にスローモーだよね」
「そう、かな?」
そんな指摘をされたことはないが、そう言われるとそうかも。
行動が素早いとは言い難い。



