やっぱりバスケはいい。
兄がいなくなって見ることもできなかったけれど、海里くんのおかげでまた向き合える。
しばらく練習を見ていると、彼は私の座るベンチに戻ってきて、スポーツ飲料をごくごくと喉に送る。
自分にはない大きな喉仏が上下に動くのを見て、ひとりで頬を赤らめた。
同じ男子でも、兄のこんなところは気づかなかったのに。
「はー。ちょっと休憩」
そしてまた隣に座るので、ドキドキする。
「今日、ありがとう」
「あぁ、ノートのことか」
「うん」
タオルで汗を拭う海里くんは、私の顔をチラッと視界に入れる。
「全然。もとはと言えば、俺が安藤に怒ったせいだし」
「ううん。あれは、うれしかったから……」
と口にして、とんでもなく恥ずかしくなった。
私は不登校から学校に復帰してからも、学校で誰かとまともに話したことがなかった。
それなのに彼は、かばってくれただけでなくつらい想いを吐き出させてくれた。



