未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。


「あのっ、私の数学のノート、先生が安藤さんに預けたって言ってたけど、持ってる?」


昨日の帰りに提出したノートを、たまたま職員室に用があって行っていた安藤さんに預けたと聞いたけれど、返してもらえていない。


「さあ?」


安藤さんは私に冷ややかな表情で言うと、他の女子と話し始める。


「返して」


もう一度繰り返したものの、今度は完全に無視だった。

どうしようかと考えていると、私の前にひとりの女の子がスッと立つ。

身長が百六十五センチくらいあり、ショートカットが似合う活発そうな大野(おおの)由紀奈(ゆきな)さんだ。


「ねぇ、聞こえてるよね。白石さん、困ってるよ?」


助けてくれるの?


「大野さんには関係ないでしょ?」
「あるわよ。そういうイジワルを見てると腹が立つの」


きっぱりと言い切る大野さんに驚いた。
なんて強い人なんだ。


「お前さ、他人のもの返さないっておかしいだろ?」


そして、海里くんまで口を挟む。