未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。


「お兄ちゃんの?」
「うん。最後の試合の写真。バスケをやってたお兄ちゃんのことを思い出したくて」


お母さんだって、突然兄を亡くしてしばらくは泣いて暮らした。
しかしある日を境に涙を見せなくなった。


――兄が逝ってしまってから一カ月。

私は学校に復帰しようとしたのに、家を出た瞬間に吐いてしまい行けなかった。

そんな私を見た母は、笑っていようと頑張ってくれたのだと思っている。
それからは泣いているところを見たことがない。


「そう。そっか……」


口元は笑っているくせしてみるみる瞳が潤んできた母は、火を止めて別の部屋に行き、すぐに戻ってきた。


「これ。お父さんが現像してくれたの。梢が撮ったへたっぴな写真もあるよ」
「うるさいなぁ。カメラマンにならないからいいでしょ!」
「ふふふ。そうだね」


母は笑いながら泣いていた。
そして私も必死に泣くまいと唇をかみしめていた。