未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。


最後に撮った春の試合の写真は、まだここにはない。
多分、父か母が現像しているとは思うけど、誰もその存在について触れない。

さすがに亡くなった当日のことを言い出すことができないのだ。


でも私は、無性にその写真が見たくなった。

あの日の決勝戦は、第三クオーターを終えて二点差で負けていた試合を、最終の第四クオーターでひっくり返した。

兄は得意のスリーポイントシュートを立て続けに二本決めて逆転したあと、ダメ押しのダンクシュート。
それからみるみるうちに点差が開き、最終的には圧勝だった。

私はちょっとドキドキしながら、部屋を出て階段を下りた。
そして夕飯の準備をしている母に思いきって口を開く。


「お母さん。お兄ちゃんの写真、ある?」
「えっ……」


今日はカレーだ。
おいしそうな匂いがする。

鍋をかき混ぜていた母の手が止まり、ゆっくり振り向いた。