兄がダンクシュートを決めている姿まで頭に浮かんだ。
あの事故の日から、私の脳裏に浮かぶのは血だまりの中の兄の姿ばかりだった。
だからあえて思い出さないようにしてきたけれど、海里くんに出会ってからは違う。
バスケに夢中になる兄のキラキラした姿が自然と思い出された。
ずっとそんな姿は忘れていたのに。
それから中学校にも復帰したが、クラスメイトは事故のことをよく知っていたため、落ち込む私とどう関わっていいのかわからなかったようだ。
遠巻きに眺めているだけで、近づいてくる人はいなかった。
そして私も、ひとりでいることを選んだ。
表面的にはごく普通に日常生活を送っているが、本当は……あのとき、私が死ねばよかったのにという後悔に襲われる日々。
だから、海里くんの言葉がどれだけうれしかったか。
それからどれくらい経っただろう。
ようやく高ぶった気持ちが落ち着いて離れると、彼は私の頬を大きな手で拭う。



