バスケ部に所属していた四つ年上の兄は、海里くんに負けず劣らず試合ではヒーローだった。
強豪私立高校で活躍し、一年生からスターター。
将来はプロになりたいと公言するほどの腕前で、ちょこちょこ大学やプロリーグのスカウトマンが試合を見に来ていることもあったらしい。
女子のファンクラブがあるほど人気があり、時には彼女と間違えられてにらまれたことすらある。
そんな自慢の兄は、高三の春の大会でMVPを獲得して一緒に帰宅するときに、歩道に突っ込んできたトラックから私をかばうようにしてはね飛ばされた。
頭から血を流して力なく横たわる兄のところに駆け寄ると、きっと痛かっただろうに私に笑いかけた。
そして、『ケガは?』なんて私の心配をした直後、ガクッと力が抜けた。
『お兄ちゃん? どうしたの? イヤだ。目を開けて!』
泣きじゃくり、血だらけになりながら兄の体を抱きしめていたことは覚えている。



