「いや、いい。今回は抜き打ちだ。」
「?…はい。」
…一体、陛下は何を考えておいでなのだ…?
タリヤは不思議に思ったが、何も言わずに従った。
当日も、いつもとは違った。
離宮には大抵『お忍び』で行くから、従者は2〜3名だ。しかし、今回はそれすらいない。
ヤールとタリヤだけだった。
魔法のかかった馬は飛ぶような速さで森を駆け抜け、1時間足らずで離宮に着いた。
門をくぐり、馬から降りて裏庭のセレの墓まで足早に歩く。
…ただの墓参りではない…
タリヤは、何故か不安を感じた。
墓の前で足を止めてヤールは言った。
「タリヤ。墓から棺を出す。中を確かめるぞ。」
タリヤは驚いた。
「!…セレ様の墓を暴くというのですか?!」
「そうだ。」
「…いくら何でも…それは…」
「この墓の下の遺体が本当に兄様かどうかを確かめたい。…あの夜、お前も見ただろう?
いくらヴァシュロークの魔法とは言え、あそこまで完璧に生身の肉体を再現できるだろうか?
…どうしても生きているとしか思えないのだ。」
「…確かに、動きは生きている人間そのものでしたが…」
「?…はい。」
…一体、陛下は何を考えておいでなのだ…?
タリヤは不思議に思ったが、何も言わずに従った。
当日も、いつもとは違った。
離宮には大抵『お忍び』で行くから、従者は2〜3名だ。しかし、今回はそれすらいない。
ヤールとタリヤだけだった。
魔法のかかった馬は飛ぶような速さで森を駆け抜け、1時間足らずで離宮に着いた。
門をくぐり、馬から降りて裏庭のセレの墓まで足早に歩く。
…ただの墓参りではない…
タリヤは、何故か不安を感じた。
墓の前で足を止めてヤールは言った。
「タリヤ。墓から棺を出す。中を確かめるぞ。」
タリヤは驚いた。
「!…セレ様の墓を暴くというのですか?!」
「そうだ。」
「…いくら何でも…それは…」
「この墓の下の遺体が本当に兄様かどうかを確かめたい。…あの夜、お前も見ただろう?
いくらヴァシュロークの魔法とは言え、あそこまで完璧に生身の肉体を再現できるだろうか?
…どうしても生きているとしか思えないのだ。」
「…確かに、動きは生きている人間そのものでしたが…」

