商人達の懐にばかり金が行ってしまっていた。

「儲けは農夫にはあまり回って来なかった。だから、国への不満は高まってたけどね…」

それでも、国王をどうにかしよう、などと考える者はいなかった。

「いきなりだよ。あいつが権力を握ったのは。大した軍人じゃなかったんだが。」

スヴィアはあっという間に国の頂点にのし上がった。

「スザールは暗くなったよ…貧しくても陽気で平和な国だったのに…」

最初は、少しは農夫の暮らしを良くしてくれるかもしれない、と期待していた。

「だが、とんでもなかった。…1番とんでもないのは奴隷制を復活させた事だ…」

何百年前の話しをしてるんだ…とセレは思った。


「今時、奴隷なんて、と誰だって思うさ。それなのに奴が決めた事はまかり通ってしまうんだ。何故か国王も奴の言いなりなんだ。」

…権力とは一体何処から湧いて出るんだろう?…

「『闘奴』というのもある。闘技場で奴隷どうしを戦わせるんだ…どちらかが動けなくなるまで…ほとんど殺し合いだ。」

「…金を賭《か》けるのか?」

「そうだ。賭博だ…娯楽なんだ。人の命を何だと思ってるんだ…」

「それでは暴動が起きるだろう。」