「拓也も俺みたいに1週間抱き上げて教室までくりゃーいいんだよ」
ハルが口角をあげてにやりと笑う。

そう、こいつは肉離れしてケガをして松葉杖の佐藤を、1週間下駄箱から教室まで抱き上げて運んだんだ。

女の子たちは、きゃーきゃー騒ぎ、とにかくふたりは注目されて、1年の中であっという間に二人の仲は周知されたんだ。

ハルが本気を出して攻めに入るその行動力はさすがに俺も真似はできない。

「だいたい、こんな男前の性格してんのになんで学年一なんてさわがれてんだ?」
「…なんか最近私に対して口悪くない?
こと美、菅原の口早くふさいで!!」

「なに?ここでふさいでもらっていいの?俺の口。こと美どうする?」
にやにやするハルの隣で佐藤が耳まで真っ赤になる。

「はぁ。いい加減俺のけいちゃんかまうのやめてもらえる?どーせ、俺の反応が楽しくてかまってんだろ?まじ、最近性格悪いなハルは」
深いため息をまたひとつつく俺を見て3人は楽しそうに笑った。

どうやら、最近のいじり対象は俺らしい…。