「ハァハァ・・・・・・ここまでは、さすがに追って来ないだろ」

「え?何で?」

「この図書館には、色々と大切に管理されてる、とても貴重な本が多いからね。中も外も、警備が厳重なんだよ」

「あ!確かに、そう言われてみれば、この前もさっきも、ここでいっぱい警備員さんを見た!!」

「だろ?だから、ここなら大丈夫さ」

「そっか!!」





「でもさ、ゼドルの仲間の人達、大丈夫かな?」

「大丈夫だよ!!俺の仲間達は、皆、強い!!超優秀な仲間達さ!!あんなヤツらにやられはしない!!」

「そっか!!あの人達も、カッコ良かったな~!!」

「ん?」





ミリカは顔を赤くした。





「あ!あ~!!実は、前から、ゼドルが戦ってるところを見ると、

とっても勇気があるし、カッコ良いな!!って思ってたの・・・・・・でも、さっき、ゼドルの仲間のあの人達が戦ってるところを見て、

あの人達も、凄くカッコ良いって思った!!」





すると、ゼドルも顔を赤くした。





「え!?ホントに!?ありがとう・・・・・・」





ミリカは、その時、そんなゼドルを見て、普段はカッコ良いゼドルも、テレると可愛い一面があるんだと思った。





「でも、俺の仲間達も、頼もしいだろ!?」

「うん!!あ・・・!そういえば、さっき、大変な状況だったのに、ガムを噛んでたけど、何で?」

「あ・・・あ~。アレは、魔法使いが魔法を使う時に必要なのさ。

魔力が入ったガム。アレを噛む事で、身体に魔力を取り入れる事が

出来るんだよ。1枚噛めば、1時間魔法が使える」

「そうなんだ!!あ!それと、何で、あのガムは、突然消えたの!?」

「あ~、あのガムは風船ガムなんだけど、ちょっと特殊でね。普通、ガムは、噛んだ後、袋に包んで捨てるモンだけど、魔法を使って戦う時、そばにゴミ箱なんてない事が多いし、捨ててるヒマもないから、捨てなくて済むように、膨らませて弾けると、その弾けた瞬間に消えるように作られてるのさ」





「へ~!そうなんだ!!凄いね!!便利!!」

「だろ~!?まぁ、ガムを噛んだ後、ゴミ箱がそばにないからといって、ポイ捨てするワケにはいかないし、かといって、ポケットに入れるのも汚いからね」

「なるほど!凄い!!ガムで魔法が使えて、しかも、膨らませて弾けた瞬間消えるなんてオシャレ!!私が好きなどのファンタジーにも、そんなの全然なかった!!」

「ファンタジー・・・・・・?何それ?」

「あ~、私達の世界の文化。〝ファンタジー〟っていうのは、

〝夢のような物語〟の事。私達の世界では、魔法は使えないんだけど、私達の世界にある〝ファンタジー〟ってジャンルの物語には、魔法を使える人が出てくるの。ファンタジーの世界でも、魔法にも

欠点や使うための条件や制限があって、作品によって、皆、魔法を使うための条件は違うんだけど、〝ガムを噛んで魔法を使う〟なんて、見た事ないし、弾けて消えた時、凄くビックリした!!」

「あ~、そうなのか」





「うん!!まぁ、私が今まで見てきたのは、全部作り話だったんだけどね」

「そっか!そうやって、君はずっと、魔法に憧れてきたから、

初めて会った時も、魔法を見て嬉しそうにあんな事を言ってたのか!!」

「あ・・・あ~・・・・・・」





その時、ミリカは、異世界へやって来て、初めてゼドルに会った時の、自分の「私の幻想はホントにあったんだ!!」という発言の事

を思い出した。





「あの言葉、聞こえちゃってたのか・・・恥ずかしい・・・・・・」