あたしは、恋愛は頭で考えるものじゃなくって、心が叫ぶもんだと思ってる。

親友にそのことを話したら、『なんて男らしい…』と嘆かれたけど…。


共感なんて、口だけの上辺だって出来るもの。
だけど、共鳴なんていうのは…。

どれだけ努力したって、自分の気持ちと相手の気持ちが重なる、奇跡にも近いような刹那の時間にしか出会えないから。


「だって、ねぇ……分析できないのが、人の心でしょうが…」



教師が教室に入ってきて号令を掛けている時に、あたしはこっそりとそう呟いた。

なんでもすぐにデータとして、数字を割り出そうとする寛人には、出会った時から興味があった。

でも、その興味が恋心に変わるまでの時間や確率なんて…きっと寛人にも量れない。


データで割り切れないあたしの想いを、アイツには分かって欲しくて…。

あたしは、日替わりでコロコロと態度を変えて、掴み所のない人間を装っているんだから。