『本当に、データなんて、全然役に立ってくれなくて困ったよ』
抱き締められたまま、耳元にダイレクトに響く寛人の声が、妙にあたしの心拍数を上げていく。
なんとかして、逃れようと身体を捩ってはみるけど、全然びくともしなくて。
強引さの欠片もないのに、その腕は見事なまでに強くあたしを抱き締めていて逃げることを許してはくれなかった。
「だ、だって、あたしが寛人を好きな気持ちは、あたしの中に一つしかないから。だから、データなんかで、他と比べられたくなかったんだもん!」
「そうか………じゃあ……」
「寛人!お願いだから、離してってば!」
「それは無理。だって、今離したら永井は絶対逃げるだろ?」
「う…だって、恥ずかしいでしょ?!…もう、顔から火が出そうなくらい恥ずかしいのに!!!」



