頭を掠めていくそんな衝動を、内心、必死で押さえ込んで。
せめぎ合うのは、気付いて欲しい気持ちと、気付かないでいて欲しいと祈る気持ち。
簡単に量れない…あたしの胸の内を、いっそ寛人が確実な数字で割り出してくれたら、なんて。
苦しさにも似た感情が、新たに混ざって……落ち着かなくなってしまう。
あたしは更に気の無い素振りを続けていく。
「あぁ、ノート。そういえば、あれ、なんだったの?」
「いや…振り返ったら、ノートと黒板を交互に見て溜息ついてたからね…もしかしてコピーとかいるのかなって…」
「あー!いるいる!だって、あそこテストに出るんでしょ?だったら、絶対にヤバイもん!」
「じゃあ、コピーするか?オレのノートでもよければ…だけど」
「…いいの?」
「あぁ…永井さえそれでいいんだったらね」
「あ、でも…借りてくわけにはいかないもんね…どうしよう…」
「予定が無いなら、帰りってのはどうだい?」
「…?!」



